来年9月にデビュー35周年を迎えるCharaが東名阪ホールツアー『Chara Live 2025 〜Lush Life〜』の追加公演を12月5日(金)に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催した。
今年2025年は“Chara’s 34th/35th Anniversary”と題した周年企画を行なってきたChara。デビュー満34周年を迎え、35周年のアニバーサリーイヤーに突入した9月には配信シングル「Lush Life」「僕は残像」の新曲2曲を同時リリース。11月には自身の選曲によるラブソングベストアルバム『The Love Songs of Chara“Lush Life”』をリリースし、10月から11月にかけては、東京・大手町三井ホール、名古屋・DIAMOND HALL、大阪・森ノ宮ピロティホールで秋のワンマンライブ『Chara Live 2025 〜Lush Life〜』を開催。本ライブは追加公演となっており、チケットはソールドアウトとなっていた。
開演時間になると、満員のファンで埋め尽くされた会場に<このうたを君のどうか/愛する人に届けよう>と呟く「甘えてよ」に続き、<切ない>を繰り返す「糸し糸しと言う心」(ともに2012年発売の14thアルバム『Cocoon』収録)が流された。そして、皆川真⼈(Key/Band Master)、平岡恵⼦(Cho/ Gt)、⽵本健⼀(Cho/Per)、井上銘(Gt)、BREIMENの⾼⽊祥太(Ba)、白根賢一(Dr)からなるバンドメンバーが位置についた。そして、鳥の鳴き声や川のせせらぎに続き、“ジュニアスウィーター”を自称する高木がアレンジしたブギーな「Junior Sweet Super Into」が鳴り響く中、森の妖精のような姿のCharaがなんと1階客席の前方から登場すると、場内では思わぬサプライズに割れんばかりの大歓声が沸き起こった。笑顔で手を振り、時にハイタッチをしながらステージへと上がると、「Junior Sweet」で早くもシンガロングや対話のようなコール&レスポンスでステージと客席が一体となり、会場全体が親密で温かいムードで包み込まれていった。
最初のMCで「Chara、34年目が終わって、35周年の突入ということで。そんな長くやってたんだね、私。いつもありがとうございます」と感謝の言葉を伝えると、観客からは「おめでとう!」というお祝いの言葉と大きな拍手が送られた。そして、「みんな、それぞれの曲にまつわる思い出があると思うんだけど、選んだ曲を気に入っていただけるといいなと思います。いろんなアルバムからちょっとずつ歌うね」という言葉のあと、オリエンタルで神聖なニューアレンジが施された「しましまのバンビ」(1997年発売の4thアルバム『Junior Sweet』収録)から、高木がアレンジした最新曲でCharaのスポークンワードのような歌唱が新鮮な「僕は残像」へ。さらに、「最近、お気に入りなの。銘のギターがいい感じ」と語った「キャラメルミルク」(2001年発売の7thアルバム『マドリガル』)ではリバーブの効いたエレキギターや4声によるコーラスがシネマティックで幻想的な風景を引き連れ、アコギに持ちかえた井上とCharaのウィスパーヴォイスというデュオ編成から始まった「ミルク」(4thアルバム『Junior Sweet』収録)と、時代を超えて観客の思い出となっている名曲をこのバンドメンバーならではの演奏と新たなアレンジで次々と披露していった。
続いて「ミスターロンリー」からは近年のライブではレアな曲を続けた。Charaと平岡の会話のようなやりとりからストーリーが浮かび上がる「ミスターロンリー」、自然とクラップが湧き上がったアップリフティングなポップロック「レモンキャンディ」。
そして、1991年リリースの記念すべき1stアルバム『Sweet』に収録され、後にリミックスバージョンでシングルカットされたエレクトロファンク「No Toy」ではスラップ奏法のベースに皆川がボコーダーを使って会場を一気にディスコへと様変わりさせた。
オリジナル音源と同じシンセによるイントロで歓声が上がった「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」では、井上がエレキギターでボトルネックを使ったソロを繰り出し、Charaが頭を振りながら確かなエモーションをぶつけた「kiss」では、<ごめんね>というフレーズの後でハッとするような一瞬の完璧な静寂がもたらされた。ドラムからエレピ、ベース、エレギと続くソロ回しがフィーチャーされた「A・O・U」、弾力性にあふれたロックサウンドで観客のヴォルテージを引き上げ、自然と踊らせていた「Duca」。コーラスの平岡はアコギやエレギも弾き、竹本はコンガやボンゴを叩く。一方、プレイヤーである高木は自身のファンクバンド、BRIEMENではボーカル&ベースを務めており、ここではコーラスとしても彩りを加えていた。さらにジャズギタリストである井上が独特のフレージングを被せていく。ベスト盤に収録された聴き馴染みのある曲たちの質感やグルーヴはこのバンドにしか生み出せないものであり、“今、現在”のCharaのモードを反映したものであったことを記しておきたい。
そして、本編後半は初期の人気曲を中心に“美しく悲しく”駆け抜けた。1stアルバム収録曲で岩井俊二監督・脚本のドラマ主題歌に起用された「Break These Chain」では語るように歌い、竹本がブルースハープを吹き、Charaが横向きでノスタルジックな歌声を漂わせた「タイムマシーン」では<タイムマシーンはこない>というフレーズでこの日、何度目かの大合唱が沸き起こり、「やさしい気持ち」では観客と手を繋ぐかのようなコール&レスポンスが繰り広げられた。そして、1993年作の3rdアルバムのタイトル曲ながら、Charaがデビューするきっかけとなったスロウバラード「Violet Blue」へ。<日々 地下鉄の階段の途中で途方に暮れちゃって>という歌詞に出てくる<地下鉄の階段>とは六本木駅のことだ。19歳の時に失恋をきっかけに歌いはじめた彼女は、当時、六本木の「フラミンゴバー」でローラースケートのウェイトレスをやっていた。朝の4時まで働き、始発で帰った後に自宅でキーボードを弾きながらMTRで多重録音して作った曲。
<ため息ばかりで息苦しい朝>を迎えていた二十歳前後のCharaの寂しさと虚しさを吐露したハスキーな独白を同じ六本木に位置するライブハウスで聞けたことは感慨深い時間となった。
ライブのラストを飾ったのは、本公演のタイトルであり、最新のベストアルバムのタイトルにもなっている最新曲「Lush Life」。
オープニングと同じように鳥の声が聞こえる中で、自分の心と向き合うようなウィスパーヴォイスから始まり、次第に楽器やコーラスが加わってスケールが拡大していき、やがて会場全体が愛と光で満ち満ちていった。絡まり合った感情が解けていくような開放感とともに本編の幕は閉じた。
アンコールでは「あるがままのCharaでいさせてもらえるのは皆さんのおかげです」と感謝の気持ちを伝え、「私らしい音楽をこれからもやっていきたい」と未来に対する思いを口にした。そして、「大事な友達に会えなくなった時に作った曲」と語った「面影」では、Charaの「みんなで歌いませんか?」という呼びかけに応えてシンガロングが発生。ナチュラルな一体感が生み出される中でCharaは観客一人一人を見つめながら<忘れないよ>というフレーズを届けて締めくくり、「(高木)祥太がうちに来て初めてセッションした曲なの」と語った「赤いリンゴ」(2018年発売の17thアルバム『Baby Bump』収録)が流れる中でのエンディングとなった。
なお、Charaは2026年1月13日(火)に東京・恵比寿ガーデンルームにて、自身のバースデーをAurora Band 2026のメンバーとお祝いするワンマンライブ「Chara Birthday Party – HOMEMADE AURORA 」を開催予定。また、同年5月5日(火・祝)〜6日(水・祝)には東京・東京ガーデンシアターで、コロナ禍の2020年に開催を中止したYUKIとのコラボレーションユニット “Chara+YUKI”のライブが実施されることが決定した。
<BANDメンバー>
皆川真⼈(Key/Band Master)
平岡恵⼦(Cho/ Gt)
⽵本健⼀(Cho/Per)
井上銘(Gt)
⾼⽊祥太(BREIMEN)(Ba)
白根賢一(Dr)※東京・大阪公演
小松シゲル(Dr)※名古屋公演
◆ 写真:カメラマン 岩澤高雄(※2025/11/11名古屋公演より)
◆ 文:ライター 永堀アツオ(※2025/12/5 東京・追加公演)